ふー…。よしっ。
憧れだった高校の制服を着て、私は鏡の前に立つ。
似合うかなぁ?
なんて、猫のしろに問いかけてみる。
しろは、ふにゃあと鳴いてソファーの上にのぼっていった。
え、なんですかその顔は。しろさん…?
不安と緊張でいっぱいだ。
今日は、高校の入学式。
まだ少し硬いかばんを右手に、私は心のなかで「行ってきます」を呟き家を出る。
外はあたたかい春の陽気に包まれていて、まるで眠たくなってしまう。
…なるべく、目立たないように。
大切な人も作らないように、無難に無機質に。
私は、そんな高校生活を送るんだ。
と決意を改める。
猫村 菜音 (ネコムラナノ)、私は今日から高校一年生。