―精霊の祖の恋物語― 前編





「はぁ…。もういい。言い疲れた。」


一向に反省した面影のない姉に、

もう何を言っても無駄だなと思って諦めた。



「おお。物解りのいい弟だわ。

 さすがリヒト君。」


「うるさい。

 まだ許したわけじゃないんだぞ?」


姉弟で言い合いを激しくしていると…



黙っていたリリーが遠慮深く話に入る。

「あの……。」




皆、一斉にリリーの方を向いたため、

リリーはビクッとして俯いた。



リヒトは下から覗き込んで

リリーの顔を微笑みながら見て、

優しい声で聞いた。



「なんだ?」


「ごめんなさい。私のせいで…。

 本当に怪我してないですか?」


心配そうに俺の目を見てきた。


「ん。大丈夫だろ?」