―精霊の祖の恋物語― 前編




「それに、お前…。

 本当は寂しいんじゃないのか?

 …一人は。」


「そんなことないっ‼」


ブンブンと頭を振って否定する。


「じゃあ…

 何でお前。…俺の前から消えるとき

 寂しそうな顔をしてたんだよっ。

 助けてって言ってるみたいだったぞ?」


「違うッ。そんな顔してない‼」


今度は俯いて、必死に否定する。


こんな姿のリリーを見たリヒトは


リリーが偽りの思いを

自分に向かってぶつけている様にしか

見えなかった。



自分の本当の思いや気持ちを

奥へと封じ込めようと

しているように見える。



「してた。

 孤独が辛いって言ってたじゃねぇか。」


「言ってないっ!!」


また、リヒトのいう事に酷く否定した。