その時

もちろんリリーは、悲鳴を上げるが…

リヒトの服にしっかりとしがみつく。


その後、リヒトの顔を涙目で見上げる。


「リヒト君……。」


リリーがそう心配そうに呟くと、

リヒトはリリーの頭を優しく撫で、

シオンの方を真剣な顔で見る。


「父さん。

 俺もリリーと離れる気はない。」


力強く言う。



そして、シオンの発言は……。


「もう、そのつもりでいたからな?


 お前は、ずっとリリーっていう子を

 探していたから、反対しても

 家を出て行くとか言うだろ?


 シュテルネン家の次期社長をしっかりと

 継いでくれるなら、問題はない。


 能力者の仕事もだが…。」


「それは、やるよ。昔から決まっていた

 事だったからな。」