―精霊の祖の恋物語― 前編





リヒトの言葉に目を見開いて固まるリリー。


そんなリリーの様子に焦って、

声をかけるリヒト。

「やっぱり、言わない方がよかったか…。」



やってしまったと頭を片手で抱え込むリヒト。


リリーは、

リヒトの空いている片方の腕を掴む。


いきなり自分の腕を掴まれて、

驚きながらも声をかけるリヒト。


「どうしたんだ?」


リヒトの声に反応して、

リリーはリヒトの腕から手を離し、

バッと離れると…


頭を下げて謝りだした。


「ごめんなさい…。」


「いきなり謝って、どうしたんだよ?」


リリーは今にも泣きそうな顔なのに

無理に笑って、返事をする。


「いえ、大丈夫です。

 私…大丈夫ですから……。」