―精霊の祖の恋物語― 前編





「そう言ってくれるのは、

 リヒトだけです。きっとそうです…。」


リリーは、リヒトに微笑みかけながら

言った。


すると今度は、「ハッ」と声を出して、

また話し始めた。


「って、リヒトさん見回りに

 行くんですよね?

 
 …私もついて行きます。いいですか?」


話し終えたときのリリーの目は、

かなり真剣なものだったので承諾した。


あまり納得がいくものではなかったが…。


「では…行きます…か…?」


リリーは首を傾けながら言った。



「そうだな…被害が起こる前に、

 止めるために…


 見回りをやってるんだもんな。」



そう、リヒトは呟いてリリーと一緒に

夜の街へと出て行く。