―精霊の祖の恋物語― 前編





リリーは、しっかりと抱き着いてきた。

俺も負けずに抱きしめていると…



リリーが話し出した。


「リヒト君。…ありがとう。」


「ん?何が?」


「私を普通の女性として

 みてくれていることです。

 
 女の子と言ってましたけど…


 私。こう見えて、何年か忘れるほど

 生きてきたんですよ?


 女の子じゃないです。…失礼です。」


「ごめん。」


「…いえ。大丈夫です。嬉しいです。


 でも…やっぱり

 リヒト君は変な人ですね。」


微笑みながら、リリーは言った。


変な人って…。


「いやっ、その言い方は誤解を招くぞ?」


「そうですか?」


「そうだよ。」