図書館へ行くことになった私と西くんは靴を履き替えるため下駄箱へ行った。
靴を履き替え、校舎を出ようとした時、


『ゆうか!』



大きな声で名前を呼ばれ反射的に振り返る。

その瞬間、大きく目を見開いた。



「シン——」


ただ名前を呼ばれただけ。たったそれだけだけど、私にとってはこれ以上にないくらい嬉しかったんだ

シンに駆け寄ろうとしたとき、手を引っ張られた。


『・・・行くなよ。』


西くんが言った。


『頼むから。』


すがるような目で私を見る。

でも…

「ごめんなさい。私、行かなきゃ」


今この瞬間を逃せば、もう二度とシンと話せなくなる。そんな気がしたんだ。