「ふーん、で、結局その日野の家でバイトすることになったの?」

「家っていうか、もはやお屋敷だけどね…」

翌日のお昼休み。

向かい合って座る明希が興味深そうに、もう一度、ふーんと頷く。

ちなみにお昼はもちろんカップラーメン(インドカレー味)。


…これも、日野君のおうちの製品なんだよね…


そう考えると、やっぱり日野君ってすごい生まれの人なんだ。

「ただの怒りっぽい人だと思ってたのに…」

「あんた意外と言うときは言うよね。」

呆れ顔の明希。

あれ?なんで心の声が…

「いや、全部口に出てるから。」

「へ!?出ちゃってた?あはは…」

「あはは、じゃない!私の前では別にいいけど他所では気を付けなさいよね。」

「はーい…」

あぁ、また怒られちゃった…
私も明希ぐらいしっかりしてたらなぁ…

きっと日野君を怒らせるようなこともなかったんだろうけど…


そこで、ふと気がついた。

「そういえば明希はあのあとどうしたの?」

「あのあと?」

「うん、北瀬君って人に絡まれてなかった?」

すると、明希はなんでもないように、いや、ちょっとだけめんどくさそうに目を細めて、

「別になんにも。しつこく連絡先聞かれたから蹴り飛ばして帰っただけよ。」


…明希はしっかりしてるけど、冷静ってわけではないらしい。

それこそ慰謝料要求されたりしないんだろうか…


「正当防衛だから大丈夫よ。」


うん。
やっぱり明希はしっかりしてる。