再び望月くんのところに戻ると、わたしは氷と少し水を入れたアイシングバッグと固定用のバンドを手渡した。



「痛くねぇんだから、こんなこと今からしなくたって平気だ「そういう油断が大きなことになるんでしょ?黙って言うこと聞いて!」



ピシッと言い放ったわたしに、彼は納得行かなさそうな表情をしながらも黙って右膝にアイシングバッグをして固定をしていた。



そして再び立ち上がると望月くんはボールを床につきながら



「……俺がどうしてこうなったか聞かないの?」



と少し声を低くして言ってきた。



「そりゃ聞きたいけど……話してもらったら望月くんは思い出しちゃうでしょ?」



望月くんの顔を見ながら機嫌を伺って言い返すと、



「今日バスケ久しぶりにしたら話してもいいかなって思えたからさ。



……前みたいに深刻そうに聞くんじゃなくて、普通に聞いて」



と言って望月くんは少し遠くを見るような目をして話し出したんだ。