美しく、気高く、そして優しいお姫様






僕は、彼女を愛していた






なぜかそっけない態度をされても







なぜか突然悲しそうな顔をしても








むしろそんな影のあるお姫様が好きだった








いつも一緒にいたかったから、何度も結婚を申し入れた







すべて、やんわりと断られてしまったが、それならそれでよかった







ただただ、一緒にいたかった







ある日、お姫様を訪ねても、彼女はいなかった







呼び鈴を鳴らせばいつでも来てくれたから、留守にしているのだと思った







でもその次も、その次も、その次も、彼女は出てこなかった








僕は、ひとつの考えに至った








彼女は、僕に会いたくないのだと








もともとインドア趣向の彼女のことだ、居るに違いない







それでも無視するなんて、よっぽど僕のことが嫌いになったのだろう








仕方なく、悲しみながら城への帰路をたどろうとする








馬にまたがったとき、微かに人の声が聞こえることに気がついた








この森は、人がまったくいないと思っていたが・・・







多くの人間が、騒いでいる声







僕はそれが妙に気になってしまい、その声を探した