「 じゃぁ、そろそろ戻らなあかんし
俺、先に行くわな!」

「 うん!仕事頑張って!」

お互い笑顔で手を振り合う。

リクと今日、付き合えた。
私のテンションは最高潮だった。

でも、この時もっと早く
引き返していれば…

もっと早く誰かに手を差し伸べて
もらえていれば…

私は救われたのかもしれない。

今思えば、バイバイの時は
決まってリクが先に帰っていた。

リクと出会う前に誰かに
言われていた気がする。

『 女を待たせる男は、ダメな男よ。
女を最後まで見送らない男もダメ。

貴方は素敵な女性なんだから。

貴方が引っ張っていかないと
どうにもならないような男を
選んではダメ!

レディーファースト、
エスコートができる男を選びなさい』

その時の私はすっかり
この言葉を忘れていた。