『なあ』
低くて、迫力がある声。
驚いて見上げると、女子と滅多に話さないことで有名な、西山くんがいた。
『それ、食っていい?』
...それ?
彼の視線の先にあったのは、落ちたカップケーキ。
私はさらに驚いて、このひと何言ってるんだろうと戸惑う。
なんでわざわざ、落ちたやつ。
それも、私なんかが作ったの。
『き、汚い、よ』
西山くんに言葉をかけるのは緊張したけど、言わずにはいられなかった。
周りの人は、西山くんがクラスの女子に、しかも私みたいなのに声をかけてきたことに驚いているのか、何も言わない。
西山くんは表情を変えることなく、その場にしゃがむと、カップケーキを拾った。



