「..............」
西山くんは、戸惑った顔で私を見つめていた。
彼にしては珍しくて、その表情を目の前で見れたことが、ちょっと嬉しいと思った。
なんとなく、さっきちらりと見えた時計の時刻を思い出す。
二月十四日。
五時、十八分。
私のバレンタイン。
「ぎり、だから。....食べて、いいよ」
いいよ。
そう言った瞬間、瞳に涙がにじんだ。
西山くんの姿が歪んで、夕焼けの橙がぼやけて。
それがかなしくて、また涙が出た。
ほんとは、義理なんかじゃない。
今日こそはって、ずっと思ってた。
いつあげようって、なんて言おうって。
チョコ作りながら、思ってた。



