私はいつも通り用を済ませると、手を洗って、出ていこうとしたけど。
ひとりが「西山くんが」と言ったとき、思わず足が止まった。
「誰からもチョコ、受け取ってないんだって。本命のはぜんぶ断ってるらしいよ」
....え。
うそ。
思わず、振り返る。
そこにいた女子と目があって、「ん?」と首をかしげられた。
「どしたの、神木さん」
「...あ。えと、な、なんでもない...」
「ふふ。へんなの、神木さん」
だって。
...西山、くん。
受け取っても、くれないの?
一瞬、聞かなきゃよかったって思った。
だけど、今聞いてなかったら、たぶん私、チョコも受け取ってもらえずにフラれてただろうなって気づいて。
不思議そうな顔をして私を見てる女子に、とりあえずお辞儀をして、トイレを出た。
「...........」
ほうかご。
わたそうと、思ってたんだけど。



