おなかすいてるならチョコあげる



あれから時々、西山くんと愛莉ちゃんと話すことがあった。

ふたりはすごくやさしくて、話しやすくて、楽しかった。


だけど近くにいけばいくほど、ふたりの、ふたりだけの空気感に触れることになって。

私は、この間に割り込むことなんか、ぜったいできないって。


なんども、思った。



みんな、あのふたりは付き合ってると思ってる。

私もはじめは、そう思ってた。


だけど西山くんを見ているうち、違うことに気づいた。


彼は、愛莉ちゃんが好きだ。

愛莉ちゃんもたぶん、彼が好きだ。


ふたりはきっと両想い。

そのはずなのに、西山くんはいつもどこか寂しそうで、もどかしそうで。


私は、そんな彼から目が離せなかった。




「ねえ。西山くん、チョコもらってくれないかな?」

「えー、無駄だよ。だって愛莉ちゃんいるじゃん」

「やっぱ付き合ってるよねえ、あのふたり」


席について、鞄の中に入ったチョコレートを眺めていたら、近くからそんな会話が聞こえた。