おなかすいてるならチョコあげる



一匹狼なイケメンが、窓際にひとり佇んでいたら、それなりに絵になる。

だから女子たちからは、密かに人気があった。



そう。密かに、だ。



西山くんが唯一笑顔を向ける、幼なじみの女の子。

明るくて可愛くてきらきらしてる彼女は、私とは正反対で。


西山くんはその子、愛莉ちゃんにだけ、柔らかな表情を向ける。


あのふたりは、本当に仲が良い。


私のことを知っていたのも、実は愛莉ちゃんを介してのことだった。


あのあと、ちょっとオドオドしながらもワケを尋ねると、言葉少なに『愛莉』と言われた。


『あいつが、お前にもらったマフィン自慢してきたから。イラついて俺が食ってやったんだよ。そしたら上手かったから』


以前、私は愛莉ちゃんに手作りのマフィンをあげたことがある。


なんてことない。偶然クラスの女子でお菓子を持ち寄る機会に誘ってもらえたから、愛莉ちゃんにもあげただけだ。


まさかそれが、西山くんの口に入ってたなんて。



そしてそれを気に入ってくれて、名前まで覚えてくれてたなんて。