「あぁっ。ありがとう」


「もう出られますか?」


「もうすぐしたら出るよ」


「かしこまりました」


そう言って熊野さんは部屋から出ていった。




「ふーー」


私は鏡の前で軽く息を吐いた。

そして窓を開けて外を見た。

黒い長い髪の毛がサラサラと揺れる。

桜の花びらが春の終を告げるように「バイバイ」とでも言うかのようにチラチラと散っていく。


コンコンッ

誰かが部屋のドアをノックした。


「準備ができましたのでお迎えに上がりました。」


「わかった。」


私と熊野さんは下に降りた。

車に乗っていつも通り学校に向かった。