(優奈side)




「よし、バッチリ!」




鏡の前で自分の姿を見て確認する。




私は、今日から高校生になる山下優奈




「お母さーん、行って来ます!」




「はーい、気を付けて〜!」




お母さんに声をかけて家を出る。




「わ〜桜が綺麗!」




私は、花が好きだからこの季節が1番好き。




「優奈、おっはよ〜!」




学校にもうすぐ着くという所で




友達の鈴木美桜(すずきみお)に声をかけられた。




美桜は中学からの友達で可愛くて優しくて自慢の友達なんだ!




「美桜!おはよ!」




「同じクラスになれるといいね!」




「そうだね!楽しみだな〜」




学校に着くと、クラス表が張り出されていて




それを見ている人で溢れかえっていた。




「あ!優奈一緒のクラスだよ!」




「え!ほんと!?めっちゃ嬉しい!」




「あ、あの人も一緒なんだ!」




「え?あの人って?」




「篠田凌だよ!」




「篠田凌?誰それ?」




「えっ!優奈知らないの!?中学の時すっごいモテてて、女の子の3分の2の人がその人のこと好きだったんだよ!」




「へ〜そんなすごい人がいるんだ〜」




「そんなすごい人がいるんだ〜じゃないでしょ!優奈完全興味ないでしょ!?」




「え?ないよ??だって男の子自体興味ないもん」




「も〜優奈可愛いのに勿体無いなぁ」




もー、美桜ってばお世辞言っちゃって〜。




絶対美桜の方が可愛いのに〜!!




「美桜の方が絶対可愛いよ!」




「これだから無自覚は…」




「え?なんか言った??」




「ううん!何でもない!早く教室行こ!」




「うん!」




美桜と一緒に教室に行っていると、




「きゃあ〜!凌くんよ〜!」




「一磨くんもいるわ!」




後ろから女の子の叫び声が聞こえた。




「うわ〜。やっぱり高校でもモテてるね〜」




「篠田って人、そんなにかっこいいの?」




美桜に聞くと、




「その辺の男子とは比べものにならないくらいかっこいいんだから〜!」




「へ〜。」




「やっぱ興味ないのね笑」




私は、後ろを振り返り、篠田くんを見た。




「凌名前呼ばれてるよ!相変わらずもてるねー。」




篠田くんの隣にいる男が言うと、




「うるせぇ。お前もだろ、一磨。」




と篠田くんは言った。




確かにかっこいい。




少し茶色がかった髪に切れ長の目。




筋が通った鼻にうすい唇。




そして、着崩した制服。




どこからどう見てもかっこいい。




うわ〜、こんな顔が整った人、初めて見たよ。




「一磨くん、かっこいい〜!」




「一磨くん?」




「久世一磨くんだよ!凌くんの隣にいる人!」




「美桜はああいうのがタイプなの?てか、篠田くんの時と反応全然違くない?」




「だって一磨くんかっこいいし〜!え、そんなことないよっ!」




確かに、久世くんも篠田くんに負けないくらいかっこいい。




でも、好きな人が出来たこともない私は、男に興味がないんだよね。




___バチッ。




篠田くんを見ていたら、目が合ってしまった。




興味がないからすぐにそらしたけど。




しかし、凌は優奈のことをずっと見ていた。




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(凌side)




「きゃあ〜!凌くんよ〜!」




「一磨くんもいるわ!」




うわ〜、俺の名前勝手に呼ぶなよ、うぜぇ。




女って俺の外見しか見てないし、




どうせ顔だけだし、




そういう女本当嫌い。




「凌名前呼ばれてるよ!相変わらずもてるねー。」




隣にいる一磨に言われた。




一磨はガキの頃からの仲でよく一緒にいる。




チャラいけど、根はいいやつ。




「うるせぇ。お前もだろ、一磨。」




そう言って前を向いた時___。




___バチッ。




1人の女と目が合った。




けど、その女はすぐに目をそらした。




俺はその女から目が離せなかった。




その辺の女なら俺と目が合うと




頬を真っ赤にするが、




その女は目が合っても




興味がなさそうに目をそらした。




こんなの初めてだ。




なんだ?あの女。




気になって、目が離せなかった。




「あの女、おもしれぇ。」




その日から俺は、その女を目で追うようになった。