友達としてが長くて、付き合いやすくて、あまり気を使わなくてもいいくて。けど、実はたまに見せる女にはない雰囲気とかがグッとくることがあって。

 いつから気になってるのか、だなんて自分でもわからない。気がついたら、なのだ。


 で。

 こんな日にかぎって、恵介が誰かから貰ってるのを見たりしたら最悪である。

 私よりもきっと美味しくて、綺麗に出来てるんだろうそれ。何で貰うの!とか彼女でもない癖にそんなことを思ったりして。馬鹿だ。馬鹿。
 恵介は私に気づかず、玄関を出ていく。


 腹立つ。
 腹立つ、馬鹿。



「恵介ー!」



 二階から窓をあけて、呼んでみる。
 後ろで、愛梨が「ほら、ほらほら」と急かす。

 外では恵介が振り向いた。「秋江?」と近くまで戻ってくるものの、こちらは二階にいる。そのため恵介がこちらを見上げて「なんだ?どうしたよ」という。



「どうしたよ、じゃないし」

「あ?忘れ物か?」

「モテモテですねお兄さん」

「なんだ、お前も欲しいのか」

「なにが」

「ほれ。ちゃんと取れよ」

「え、え」




 鞄から出してきたのは、板チョコ。何で板チョコ。しかも甘いやつ。