レシピとにらめっこしながら、愛梨が書いてくれた通りに処理していく。甘い匂い。途中母が様子を見に来てアドバイスをしてくれるのだが、なんだか恥ずかしい。
 うわぁ自分、女の子みたいじゃないか、といえば「女の子でしょ」と母。ごもっとも。


 オーブンから出して、うん。

 味をチェックし、見た目はやや手作り感があるものの、そりゃ手作りだもの!ということで。

 ラッピングにも、困った―――のを見越していたのか、レシピの他に愛梨メモがあって、そこにはラッピングについての案が可愛く書かれていた。よっててこずったものの、まあまあなものが出来たも思う。多分。



 ―――――で。


「いつ渡すつもりなのー?」


 金曜日。

 学校に来て早々、愛梨に「どうだった?作れた?」と言われ頷きながらお礼をいう。が、いつ渡すのかと聞かれて困った。

 恵介と私は、別に"恋"というような雰囲気はない。リア充爆発しろとか、鼻にティッシュ詰めてるよ!とかいえるような仲だ。互いに男友達、女友達という感じなで、それが一番いいのではと思う自分がいた。

 告白して、駄目だったら。
 今まで通りには、いられない。見るたびきっと様々な思いが入り交じるのことになるのだから。



「うーん」

「頑張れ、秋江」



 愛梨は応援してくれたけど、と溜め息がでる。