「まさくん!はいっ」


そう言って世奈が差し出したのは
小さな香水の瓶。


「つけてみて!!!」


そう言って満面の笑みを見せる世奈に


「おー...また今度付けるわ!」


そう答えるといつものように
あいつは頬を膨らませた。



弱虫で身勝手な俺はこの匂いが
する度にこの日を、世奈を
思い出すのが怖くて、辛くて。
そっとポケットの中へと閉まった。