それなのに、また私は彼を傷つける。修吾がそれを知ったらきっと彼は私を軽蔑するに違いない。


それに今度こそ本当に心から女性に対して軽蔑の眼差ししか向けられなくなるかもしれない。



「藤森!どうした?なんか急に黙り込むし、顔色も悪い。体調悪いのか?早退してもいいよ」



「い、いえ。大丈夫です。すみません。課長とお話ししていたのに考え事してました」



「そっか。でも、あまり考えすぎるなよ。藤森も溜め込むタイプだからな。困ったときはいつでも相談に乗るよ」



先に戻るねと言う課長の背中が修吾の背中に重なって見えた。もし、真実を知ってしまったらあの背中は私が何を言っても振り向いてくれることはない。


そう考えると胸がズキズキと痛んだ。



結局、明日の予定よりも自分のやっていることが修吾を利用していることだと自覚してしまったのでそればかり考えていた。


幸い、仕事に支障が出なかったのが何よりだけれどこのままでいいのか悩んでしまう。


いっそ、課長がくれた言葉に乗っかってソロウェディングを受けてみようか。


そんなこともチラッと頭を過ったけれどやっぱりそれだけはどうしても踏みとどまってしまう。