よく耳にする噂｡

優麻は原田にﾍﾞﾀぼれ｡

原田は､俺みたいなﾊﾞｶと違う…いわゆる王子様タイプだ｡

優麻が原田みたいなやつに惚れるとは､思わなかった｡

教室にいてもたまに聞こえる｡

｢原田くん!!｣の声｡

優麻は有名人だから､噂なんかそこら中出回ってる｡

｢両想い｣だとか｢ｶｯﾌﾟﾙ｣とか

俺には嫌な噂…。

俺とすれ違ったって、気づいてない。

原田とすれ違ったら必ず、

｢原田くん！｣

なんかさ、悲しくなってきた。

周りからみたら俺ってかわいそうだよな。

｢飛呂｣

１年の教室の前を通っていたら、誰かに呼ばれた。

いや、誰か、と言うか、さ。

まあ、優麻なんだけど。

｢優麻じゃん、何？｣

｢あ、やばいワゴン！
呼んどいてごめん、待ってて｣

｢あ、うん｣

優麻給食当番なんだ…めんどくさそうだな。

優麻がワゴンを運びながら廊下にでようとした。

すると、他クラスのワゴンも出てきて、…

｢危ない！｣

｢へっ、わあ!!｣

｢優麻大丈夫？｣

｢あーびっくりしたーごめんね｣

｢おう｣

｢飛呂ごめん！一緒に運ぼ｣

｢え、まあいいよ？｣

一緒にワゴンを運ぶ。
それだけても嬉しいから。

優麻が原田に本気なのと同じように、俺も優麻に本気だから。

｢で、話って？｣

｢図書館いこ｣