「夕霧、鼻をつまめ」
急に体を抱え上げられて、私の思考は遮られた。
「え?」
誰の仕業か確認しようと思ったけれど、それより早く体が宙を舞う。
あ、と思う間もなく水飛沫が飛び、私の体は水に沈む。
視界が透き通った水色でいっぱいになる。
突然のことで息を止める暇なんてなくて、口から漏れた息が泡になって浮かんでいく。
同時に水を少し飲んでしまう。
あわてて立ち上がり水面から顔を出して、激しく咳き込む。
鼻にも少し水が入った。
ようやく落ち着いて、息を整えると、お腹を抱えて笑っている男を睨みつける。
「晋作の馬鹿!!いきなり何するのよ!!」
「どうだ夕霧、冷たくて気持ちいだろう」
楽しそうに笑うばかりで、全く反省の色がない。
