夢想曲ートロイメライー


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それから数日後。

塾の帰りに、久しぶりに萩城下に寄ってみた。

活気にあふれたこの町が好きだった。

小さい頃、よく父に連れられて歩き回ったのを覚えている。

何気なく横に目を向けると、子供が数人、長屋の外で遊んでいた。

近くに材木が立てかけてある。

あぶないな……。

注意しようかとそう思った時、一陣の風が通り抜けた。

目に砂が入らない様に手で顔を覆う。

「きゃあっ!!」

甲高い叫び声と、続いて何かが倒れる音がした。

突風がおさまってから目をやると、先程の子供達が倒れていた。

側には材木が転がっている。

多分、今の突風で倒れた材木に当たったんだ。

「大変!」

急いで駆け寄る。