でも晋作は首を大きく横に振った。
「いや、夕霧はこれっぽっちも悪くない。玄瑞は頭が堅すぎるんだ」
晋作は私の肩を軽く叩いて立ち上がると笑った。
「だけども夕霧、僕はあいつと夕霧はきっといい仲間になると思うぞ」
「…え?」
よく意味が分からずきょとんとしていると晋作がいきなり声をあげた。
「早く戻らんと父上に叱られる。夕霧、僕は先に帰るぞ!!」
走って行く晋作の後ろ姿はあっという間に見えなくなった。
……晋作、結局肝心な所は言わずに行っちゃった。
一人になった私は考える。
……本当にいい仲間になれるのだろうか。
あの日以来、一言も口を利いていないのに。
というかそもそも、どうやって話しかけよう。
しばらく頭を抱えて考えてみたけど。
「駄目だ、思いつかない」
お堂に寝転がり空を見上げる。
澄んだ青空に浮かぶ雲が、陽の光を受けて淡く輝いている。
遠くに鳶が見えた。
