親父の低い声が聞こえる。



はっきりとではなく、モヤモヤとだけど。



どんなことを言われているのかも、全く聞こえない。



オレはじっと扉の前で、合図をもらうまで待っていた。



トン、と扉を叩かれると、オレはすぐさま部屋に飛び入り彼女を庇うような体制をとった。



「コイツに変なことを言ったら、今すぐに謝れ。



オレたちのことを許せないんだったら、オレはこの家から縁を外れる」



初めて、親父の前で漢を見せた気がする。