そして別れの時。



彼女と初めて出会った、あのひまわり畑。



8月の上旬だっていうのに、少し寂しそうに見えてしまった。



大きな車に、運転手。



自分が貴族なのだと、改めて突きつけられた。



こんなだっさいプライドも、親から貰った身分も。



守る為に生まれたこんな殻を破り捨てる。



「一緒に来てくれませんかっ!」



目をつぶって、オレは言った。



目を少しだけ開くと、彼女は何やら携帯に向かって話しかけていた。



会話が終わると、彼女は俺の手を掴み微笑んだ。


それを合図に、オレたちは車に乗り込んだ。