--------------結衣の笑顔、可愛かったよ」

俺はしゃがみ込み冷たい石を撫でる
この下に眠るのは愛しい結衣。
あー……緊張する。
深呼吸をして、背中側から大きな花束を出して差し出す

「遅くなったけど、これからもずっと俺といてくれないかな。次は必ず君の手を強く握って離さないし、俺が息絶えるその時まで守るから。約束するよ、必ず君を何度も見つけ出して笑わせるから。だからっ、ついてきてほしいんだ。いいだろう?」

言い切り花束と小さな箱を置く
すると何かが切れたように涙が溢れた
もっと一緒に話したかった
色んな顔を見たかった
隣で
拗ねたり、泣いたり、怒ったり、笑ったり。
色んな表情をする君を見たかった
その表情全部を自分で引き出してもっと、
もっともっともっともっともっともっともっと、大切にしたかった
もう、それすら全て叶わない

「結衣っ……返事してくれよっ……ッ」

口にしたってなんにもならない言葉
静かに俺の嗚咽と風の音が響く

『笑って、私のために』

君の好きなラベンダーの香り
その香りと共に、
俺の大好きな愛しい声がそう囁いた。

fin.