君の香りに慣れ始めて想いを重ねて伝えられないまま二回目の夏休み
勉強のできない君と去年同様に補習に出る
去年、君が勉強できないことを知ったときすっごくびっくりしたんだよ
見た目詐欺だよね、
オレンジでボサボサな俺と違って黒髪でメガネでたまにくくって三つ編みおさげだから頭がいいと思ってたよ。
でも、今年も君と一緒に学べてすっごく楽しかったよ
補習が終わってその日はすぐに帰らずにコンビニに行ってから公園に行ったね
公園ではコンビニで買ったボールでキャッチボールをした

「結衣ちゃんって運動できないのー?」

そう言いながらボールを軽く投げる
するとそのボールは狙ったように君の頭に当たる

「なんなんですか⁈雷君、わざとしてるんですか⁈」

膨れてむすっとしながらボールを拾い投げてくる
ふわふわと風船のように宙を舞うボール
俺はここぞとばかりにそれに当たりに行く

「いたっ!強いなぁ……結衣ちゃんは……」
「いいです。もう、サンドイッチ食べます」

君は拗ねた表情でベンチに戻りサンドイッチを頬張る
美味しそうに食べる姿を眺めていると自分もお腹が空くのがわかった
サンドイッチ、美味しそうだな……。
食べかけが欲しい……。
そこまで考えて笑いがこみ上げてくる
食べかけが欲しい、って……
ははっ、なんだよ、変態みたいじゃん
ケラケラと笑っていると君は怪訝そうにサンドイッチを咥えたまま見上げてくる

「どうしたんですか……?」
「君の食べかけのサンドイッチが欲しいって考えてる自分に笑っちゃった」
「涙目で笑うほどですか?」
「そうだよ。君のことが自分で涙が出るほど笑えるぐらい大好きなんだ」

さらっと小っ恥ずかしいことを言い赤くなり見つめ続ける

「だから、その……付き合って欲しいんだけど、」

俺はようやく、心のうちに募らせ続けた想いを口にした
目を見つめる。
すると君は仏頂面のまま小さく頷く
仏頂面でも、俺にはすっごく、可愛く見えた。