朝の学校までの五分間。
人通りの少ない道を幼馴染の稔を苛めながら二人で歩く。

「痛いよ!」

少し拗ねたように言い涙目でムスッとする稔。
涙目。
あぁ、ぞくぞくするわ……。
私は口端が片方だけ上がったのがわかった。
かわいい。
だから、更に一発。

「葵ちゃん⁈」
「あんた男のくせにこんなんもたえらなんないの?ヘタレ」

ケタケタと笑いながら言い背中を数回、叩く。
すると稔は涙目で私を睨む

「泣くことないじゃない。だからあんたは永久に片想いなのよ」

泣き顔。
あぁ……。
うん。やっぱり可愛いわ。
ふふっ、
小さく笑いが零れる。
こんなんに、惚れたのね。