「この辺でいいかな」

  游さんは私を地面に降ろす。まだすこし体が揺れていた。

「転ばないように、握ってて」

そういって差し出された手を、私は素直に握る。

そのまま公園内を散策し、お腹がすいてきた所で芝生の上にレジャーシートを広げた。水筒とお弁当をカゴバックから取り出して並べると、游さんのお腹が音を立てた。

「ごめん。旨そうだから、つい」

「あはは。じゃあ、たくさん食べてください」

「いただきます」

 手を合わせてから游さんは唐揚げを口にいれた。私はおにぎりをほおばる。お腹がすいていたからか、たくさん作ったお弁当はあっという間に空になった。

「美味しかった。ご馳走様」

「おそまつさまでした」

 お弁当箱を片付けると、游さんは小さく欠伸をする。

朝まで仕事をしていたんだもの、眠くないはずがない。私は遠慮がちにこう提案してみる。

「あの、游さん。少し休んでください」

「いいの?」

「はい」

「……じゃあ、少しだけ」

 游さんはそういって、ごろんと寝転がる。するとすぐに小さな寝息が聞こえ始めた。小さな子供みたいに無防備な寝顔を晒している。

「どんだけつかれてたんですか」

  私は游さんのクセのある柔らかな髪の毛をそっと撫でた。くすぐったかったのか、彼の寝顔がふにゃりと緩む。なんだかかわいい。愛おしさが湧いてくる。

「今日は、ありがとうございました」

 游さんが目を覚ましたのは、それから二時間ほどたってからだった。