一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~


それから私は游さんがシャワーを浴びている間にベッドにもぐり込んだ。

でも、キスハプニングからの頭ポンポンがあまりにも衝撃的すぎて、脳内でなんどもリピートしている。

「はあ~、眠れないよ」

 常夜灯が照らす薄暗い室内で、私は何度も寝返りを打ちながら頭をワシワシと掻く。

「でも、游さんが出てくる前に寝ないと、もっとドキドキしちゃいそう。早くしなきゃ」

やがて游さんが風呂場から出てきた。私は起きているのを気付かれないようにうっすらと目を閉じる。

風呂上がりの游さんは静かに冷蔵庫を開けて麦茶をコップに注いだ。それを一杯飲むと小さく吐息をつく。

「おやすみ、由衣子ちゃん。……ってもう寝ちゃったか」

 游さんは聞こえるか聞こえないかの声でそう言うと、ソファーに寝転んでブランケットを被った。
布の擦れる音も、ソファーのきしむ音もやけに耳に届いて、まるですぐ傍にいるみたいな錯覚を起こす。
私の胸はまたドキドキと高鳴った。

やがて静かな寝息を立てだした游さんを、私はテーブルを隔てた反対側のベッドから自然と目蓋が降りてくるまでの間、ただひたすらぼんやりと見つめていた。