一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~


私は目の前に座る彼のことをじっと見た。

穏やかそうな雰囲気で、不精髭さえなければ、イケメンの部類に入る。高く整った鼻。薄く形のいい唇は常に緩やかな弧を描いている。

少し垂れ目の大きな目は困った様に視線をさまよわせている。

自己紹介すら求められず、放置されるなんて少しかわいそう。そう思った私は游さんに声を掛けた。

「あの、何を飲みますか?」

「ああ、じゃあ、オレンジジュースにします」

 メニューもみずに游さんはそう言った。

「えと、お酒じゃなくて、ジュースでいいんですか? いろいろありますけど」

 せっかくアルコールも各種飲み放題なのに、と私はメニューを広げて見せる。

「ありがとうございます。でも、僕、いつ職場から呼び出しがあってもいいように、アルコールは飲まない主義なんですよ」

アルコールがダメということは、運転手か何かだろうか。よくわからないけれど、本人が飲まないというものを勧めるわけにもいかない。私はメニューをパタリと閉じた。

「そうですか、じゃあオレンジジュースで」