「好きなのを選んでくれていいよ。値段は気にしないこと」
游さんは私に優しく耳打ちする。
「いいんですか?」
游さんの顔を見上げると、私を安心させるようなほほ笑みを返してくれる。
「もちろん」
私は気になるデザインのものをいくつか見せてもらい、ゴールドのフルエタニティーに決めた。
ちょうどサイズがあったので、そのまま持ち帰らせてもらい、後日刻印してもらうことにした。
素敵な箱にリボンを掛けてもらい、私は游さんの車に乗ってマンションまで帰る。
その車中で、菱沼さんに電話を掛けた。突然店を飛び出したことを詫びて、游さんからプロポーズされて事を報告する。
菱沼さんは、「おめでとう」そういって電話越しに祝福してくれた。私は「ありがとうございます」といういって電話を切った。
「会社の人、なんだって?」
レストランでのことを見ていた游さんは、菱沼さんが怒っていないかどうか心配していたようだ。
「許してくれました。それとおめでとうって言ってくれて、安心しました」
「由衣子ちゃんは、本当にいい人に囲まれてるね」
游さんの言葉に、私は深く頷く。
「そうですね」
確かに私は人に恵まれている方だと思う。
特に紘子には、たくさん感謝しなくちゃいけないのに、ここのところ気持ちの浮き沈みが激しくて上手くいっていなかった。結婚式前だというのになんとなく疎遠になりつつある。


