「ああ、多分これだ。よかったよ、見つかって」
「え?」
「……もしかして、これを見つけたから僕が浮気してるとでも思ったの?」
「違いますか?」
「違う。ごめん、誤解させてしまったみたいだね。そのピアス、結花のなんだ。結花っていうのは僕の遠縁にあたる女の子。もちろん、由衣子ちゃんが思っているような関係じゃないよ」
実家に遊びに来ていた結花さんを自宅まで送り届けた時に、落としたのだろうと游さんは私に説明した。今日はそのピアスが見つからないので、結花さんに食事をおごって欲しいとねだられたそうだ。
「いた、游君! もう、なんで結花のことを放ったらかしにして飛び出していったの? 信じられない」
游さんの腕に絡みついた結花さんは私に気付くと可憐なその顔をひきつらせる。
「なにこの女」
「こら結花。そう言う口をきくんじゃない。この人は、僕の大切な人だよ。父の事業の引き継ぎが終わったら結婚しようと思ってる」
私は游さんの言葉に驚いて、疑うような目で彼を見上げる。
「うそ、だってあの時……」
慎一郎さんに結婚を考えているかと聞かれて、否定したじゃないか。
「ごめんね、由衣子ちゃん。きっと誤解させたんだと思う。あの時、慎一郎に結婚のことを聞かれてああ言ったのは、今すぐには考えられないって意味だったんだよ」
「そうだったんですか? 私はてっきり游さんは私なんかとは結婚するつもりがないんだって思ってました」
「言葉足らずでごめん。こんなことならちゃんと伝えればよかった。今からでも遅くはないよね?」
「え?」
游さんは結花さんの腕をほどくと、私の両手を握った。
「由衣子ちゃん、僕と結婚して欲しい」


