あの日から数日が経った。今日も游さんは仕事で遅くなるらしい。いままでなら、信じて疑わなかった“仕事”も、本当かどうかも分からない。
彼を疑う自分が酷く惨めで、そうすることをやめようと思う。けれど、ひとりの夜は長くて寂しくて、つい想像してしまう。
今、游さんは誰と何をしているのか。
何かしていないと泣いてしまいそうだったから、私はおもむろにパソコンを立ち上げて、仕事の資料作りを始めた。
同時に紘子からのメールが届き、その件名にため息を吐きながら開封する。
紘子の結婚式は、二か月先に決まった。親戚と友人だけの小さな式にするそうだ。ドレスやブーケの相談を持ち掛けられても、素直に応じることができない。
「Aラインか、プリンセスラインかなんて、私に相談しないで慎一郎さんと決めればいいじゃない」
ドレス姿の幸せそうな紘子の画像は、今の私の目には毒でしかない。こんなに僻みっぽい性格だったなんて、いままで知らなかった。親友の結婚式すら妬ましいなんて。
「まだ十時だけど、もう寝よう」
私はパソコンを閉じると、ベッドに寝転んだ。うとうととしかけた時、游さんが帰宅した。
「ただいま、由衣子ちゃん」
寝室に入ってきた游さんは、ベッドの端に腰かけると私の髪を撫でた。
「……この頃は僕の帰りを待っていてくれないんだね。報告したいことがあったんだけど、今度にするよ」
さびし気に言う游さんに心が痛んだけれど、私は目を開けなかった。
こんなに心が淀んでしまった私の目を向けたくはなかったから。


