それからカフェでお茶をしながら、歩き疲れた足を休める。
「疲れたね。体は大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「これからどうしよっか。まだ帰るには早いよね。どこか行きたい所とか、ある?」
そう聞かれてもすぐには思い浮かばない。今日は買い物ができただけでも大満足だ。そう思いながらも、游さんとどこかへいきたい気持ちもある。
「どこでもいいですよ。ドライブでも、なんでも」
「なんでも? そうだね、じゃあウチにくる?」
「ウチ?」
「そう僕の実家。父にはまだ話していないんだけど、由衣子ちゃんを連れて帰ったらきっと喜ぶと思うんだ。ちゃんと紹介したいな」
「永峯理事長にですか?」
「そうだよ。だって、僕は君との将来を真剣に考えてるんだから」
いきなりプロポーズのようなことを言われて、私は答えに詰まった。
嬉しいのは間違いない。けれど、永峯理事長に会うのにはまだ心の準備ができていない。


