それから飽きるほど愛し合った私たちは、一緒にシャワーを浴びた。
恥ずかしがる私の体を、游さんは優しく洗ってくれた。私の体を滑る意地悪な指先は、たくさんの人の命を救っている。そう想像すると背徳感に苛まれるので考えるのはやめることにした。
クリーニングから上ってきた私のワンピースを受け取り、支度を整えると、遅めの朝食を食べてからホテルを出た。
休日の新宿は人であふれている。游さんの提案で、青山まで車で向かい、海外のハイブランドを扱うお洒落なセレクトショップに入る。
「この服だと少し浮くから何か買おうと思って」
確かに、街を歩くには適さない。
「僕からプレゼントさせて」
遠慮する私の肩を抱いて、すでに秋物が出始めている店内を歩く。
「由衣子ちゃんって、いつもモノトーンの服が多いけどもっと明るい色の方が似合うと思うよ」
そう言うと游さんは、今年流行のトップスやスカートを何点か選んでくれた。私は試着室に入って着ては脱いでを繰り返す。
「これはどうですか?」
「どれも似合うね。選べないから全部買おうか」
「全部?」
「そう全部。じゃあ次は僕のね。由衣子ちゃんも一緒に選んでくれる?」
游さんはいつもカジュアルな格好がおおいけれど、こなれたお洒落をする人だとは思っていた。何気ないTシャツも実はハイブランドだったなんて、私の目はとことん節穴だと思う。
「これはどう?」
「似合うと思いますけど、こっちの色味にすると顔が明るくみえません?」
恐縮しながらも自分の意見を言うと、游さんは少し考えて「そう? じゃあ、由衣子ちゃんが言ったほうにする」と手にしていたシャツを棚に戻す。
游さんはシャツとパンツとスニーカーに決めて会計を済ませると、買ったばかりの洋服に着替えて店を出た。


