一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~


「それならいいんだけど。あの子、結構男関係派手だって聞いてたから、西尾さんのこと、寝取られたんじゃないかと思っちゃった」

「え、そうなんですか?」

 菱沼さんの言葉に私は耳を疑った。まどかは見た目可憐なお嬢様風。男関係が派手だなんて、想像もしていなかった。寝耳に水とはこういうことを言うのかも。

「知らなかったの? まあ、社内では大人しくしているから気付かないかもしれないけど、裏では結構遊んでるっていう話。私の男友達も合コンで何回か見たことあるっていってたし。この間まで、ここのビルに入ってる会社の人と付き合ってたみたいだから西尾さんも遊ばれてるのかもよ」

「……まさか」

 それが本当だったら、隆のことを返してもらいたい。

あの時まどかが、『人生で初めて好きになった人だから、気持ちを押さえられなかったんです、ごめんなさい』って泣き出すから、なんだか隆を思う気持ちに負けた気がしてしまったし、隆は、まどかの震える肩を抱きしめて、『そんな彼女を愛おしいと思う』だなんて言うから、二人の世界に私の入り込む余地を見いだせなかったのだけれど。

まどかの涙が演技なら、私が大人しく身を引く必要なんてなかったんだ。

まずは、事実関係を確かめないといけない。私は昼休みにまどかを呼び出すことに決めた。