【土方歳三】




夜空を見上げ、涙を流す姿は

美しかった



山崎は、屯所につく前に

明日、皆にきちんと話がしたいと言った



こんなときだが、今夜から
総司と山崎が二人きりなのだと思うと

なんで、俺じゃねぇのか

なんて、未練がましく想う


二人とも、俺にとっちゃ大事な存在だ

二人が幸せになれるなら

身を引くのも悪くねぇけど…


やっぱり、惚れた女の涙は見たくねえな




翌日



疲れからか

精神的なものからか

山崎が高熱で目を覚まさなかった



大阪のぜんざい屋で例の計画を企てていた
者を襲撃したとの知らせがあり

逃がした者の探索に人手が欲しいと
谷から知らせが来て、人選などで
慌ただしくなった



夕方になり、やっと目が覚めたと

総司が知らせてくれた



ちょっと様子見に行くか





隣の部屋へ



「どうだ?」

「熱が下がらなくて…
先ほどまた眠ってしまったんです」

「そうか…
おめぇも明日は、仕事だな
非番の斎藤に看病を頼んでおく」

「はい…ありがとうございます
土方さん……」

「なんだ?」

「いえ……なんでも」




山崎といい 総司といい


言いよどむの辞めて欲しい


気になって仕方ねえ



「桶の水、変えてきてやる」



少し時間をやれば、喋るかもな