幹部らを連れて島原へ



長らく休んでいた君菊が復帰したとあり

引っ張りだこらしい



「たたたた…おぉお助け下さい!!!」



揚屋の番頭が、血相を変え

俺たちの部屋に飛び込んできた


「どうした!?」

「君菊が!!」



番頭に連れられ、全員で部屋に入ると

拍子抜けした


「ほら!血相変えて飛んできたやないか」

「そらそうやわ!うちやのうても来るよ」

「いいや!新選組の土方副長と君菊は
恋仲だともっぱらの噂や!白状せぇ!!」

「せやから~土方はんは花君太夫はんゆう
恋仲はんがおるんどすって!」

「ちょっと待て!花君は、俺に好意がある
だが、勝手に俺と恋仲にするな!」

「あら?うちはてっきり!
ほな、いっそ花君はんと恋仲になったらええわ!」

「あのなぁ~」


俺が想いをよせているのは、おめぇだ


とは、総司の前で言える訳もなく


「土方!!男らしく、どちらかにしろ!」


呼び捨てかよ!!
この酔っぱらいは、相当こいつが好きみたいだが、どこかで見たような…


「もお~ お酒飲みすぎどすえ?」

「儂は、酔ってはおらん!!!」

「酔ってます!手代木はんしっかりして」


「あーーーー!会津藩士の手代木さん!」

「うるさいぞ!土方!!」

「ホンマ、やかましおすなぁ~」

「なぁ 君菊?
儂は大事にするぞ?嫁にこんか?」

「何遍もお断りしてんのやさかい
諦めて下さいまし」


そうだ…佐々木さんの実兄 手代木勝任


振り返ると

呆れて幹部らはすでにいなくなっている

しかし

総司は、ムスッとして俺の後ろに立っていた


「手代木さん!!!」



ズカズカと二人に近づくと

君菊を後ろから引き寄せて


「土方さんと恋仲なのではなく!
僕と恋仲なのです!!!ね?君菊?」



総司の嫉妬が恐ろしいと判明した



「すんまへん…手代木はん
そういうことなんどすけど…」

「わかった!悪かったな!」


手代木さんは、あっさりと引き下がった



そりゃあ 



この二人を見れば、嘘でないのも
すぐにわかる

引き寄せた総司の手にしっかり手を添え

恋仲だと認めた





諦めるしかねえじゃねぇか…