幹部会議の日

総司が山崎を連れて来た


「なんで涼花を連れてくんだよ!」


「山崎君です」


総司が言うと皆の視線が山崎へ


「すみませんでした」


確かに涼花とは、違う


「もう!謝ることないんですよ!
さあ!今日からまた新たに始めましょ!」

「副長
しばらく、置屋に戻らせて下さい」


山崎の目は、死なせて欲しいと
俺に懇願したあの時の目だった





「俺たちは、自分の身はちゃんと守る
だが、他人も守る
生きてこそ、守り続けていける
初めて会った時、おめぇは俺に言った
大切な人を守れる武士になりたい
俺は、主君として頼りないよな」

「そんなことありません!!」

「いや頼りなかった
だが、もう皆に隠す必要もねぇだろ
山崎 総司にも言ってないことあるだろ」

「……」


山崎が青ざめ視線を落とす


「山崎 頼ってくれ」


総司が山崎の背中に手を当てる


「お願い… 僕らを頼って?」



山崎は、唇を噛み締め

床に手をついた


「すみません…俺

       ……長州にいました」


「山崎君 よく言ってくれたね
実は、佐々木さんが偶然
長州藩の者を見つけ、後をつけて
会話を盗み聞いたそうでね
君を探しているって
だから、知っていたけど
君の口から聞きたかったんだ」

「ありがとう話してくれて」

「山崎!借りは返す!!
今度は、俺が守ってやら!」

「……」


山崎は、皆の言葉に返答しなかった

床に手をついたまま

顔を上げることすらしなかった


「皆、すべてわかった上で
山崎君を信じてくれてるんだ!
大丈夫!僕らは、仲間でしょ!?」


総司が声を掛けても

それは変わらず


「…死ぬまで追われる忍びです
皆さんの足枷には、なりたくない」

「山崎」

「大丈夫です
女だってバレてないから…
君菊として、情報収集だけでもさせて下さい!」

「まだ頼りねえか?
だったら、お前に頼られるように
お前から信じて貰えるように
今度は、俺たちが努力する」











山崎は、その夜、置屋へ戻った

翌朝の朝餉の不味さ

数日間で溜まった洗濯物

廊下の隅に埃

庭に枯葉の山

体調不良者が続々




「あいつがいねえと駄目だな…」