佐々木さんが屯所へ来た

「いいのか?皆の前で…」

「もう、女だとバレたので大丈夫です」

「もしかして!山崎を預かってるのって
佐々木さんか!?」

「そうだよ!永倉君…しかし困った…
昨夜、意識が戻ったのだが…
何というか…
烝のようで、烝じゃないというか…」

「山崎だが…
死にたがっていた…
それと関係ありますか?」

「今朝、医者に診せた
どうも、記憶が飛んでいるようでな…
俺の事もわからないらしい…」

「そんな… 会わせて下さい!!」

「沖田君…なんで?」

「ああ コイツ、山崎と恋仲なんです」

「は?え!!烝と!!
へえ~ 烝とねえ~
そうだ!やたら、女子らしくしてたから
君菊か?って聞いたら
君ちゃん?菊ちゃん?て聞き返されたんだ
どういう事だ!?」

「君ちゃんは、元旦那様で
菊ちゃんは、亡くなった娘さんですよ
って事は…
今、山崎烝じゃないですね
佐々木さん!!会わせて下さいよ!!」

「そこまで事情がわかるのなら
いいだろう!!
土方!!沖田君を借りるぞ!!」

「はい よろしくお願いします!」









陽射しの強い日の事だった



十日以上も目覚めの知らせがなく

暗い表情で、佐々木さんが現れた時

まさか…


なんて、縁起でもないことを思った


生きててくれりゃ それでいい…


記憶がないなら


女として、普通の暮らしをさせればいい