「烝をくれ!」


見廻組が発足して間もなく
幹部会議に佐々木さんが、乗り込んできた


反論をしてやろうと思ったが

シュタッ

「アホか!!」

バシッ


あっさりと山崎が追い返した


「ご報告致します
間者疑いが、数名おります」


「篠塚…」

「はい?」

「永倉の隊に入れ」

「俺んとこ?
山崎…剣術とかできるのか?」

「ええ 少しは…」 

「いや、出来ないふりをしろ
出来るだけ仲良くなって、油断させろ
報告は、永倉にしてくれ
永倉…篠塚だからな」



医務方の篠塚が、永倉の隊に入り数日




「おら!篠塚!!!
真面目にやれ!!!」

「はい!!!」


山崎の剣術の腕前を知らないが

俺の言いつけを守ってんのか

本当に下手くそなのか…


いつも、コイツを一人で敵の所にやってる事は、危険なのでは…

と、思うほど酷い



だが、幹部らにあれだけ溶け込まなかった
あの…山崎が


「寺島~ 井戸行こうぜ!」

「おう!篠塚~お前、少し上手くなって来たぞ!」

「本当か!?」

「まだ巡察に連れて行って貰えないだろうけどな!」

「ええー寺島~後で、稽古しよう!」

「いいぞ!!」

「中野も来いよな!」

「いいのか?」

「おお!大勢のが楽しいだろ?」





すっかり永倉の隊士らと仲良くやってる



〝命令であれば、愛想くらいふりまきますけど?〟



そう言っていたことを思い出した

つまり、これは演技…



「お前、医務方の時は、怖かったけど
話してみたら、良い奴だよな!!」

「人様のお命預かってると思ってさ!
ピリピリしてたんだ
ごめんな?」



常に、ニコニコしているんだから

すげぇ変わり様だな