「ようこそ!局長 近藤勇だ
君の名前は?」


試衛館の幹部らに囲まれ、涼しい顔をしている薬売り

その度胸が、さらに土方のツボだった


「クックックッ」


楽しそうな土方と対照的に、沖田は
イライラした

「近藤さんが、名前聞いているんだ!
答えなよ!」


カチャッ


沖田が抜刀し、切っ先を薬売りに向けた


「斬られたいの?」



薬売りは、チラッと沖田を見てから
右手を床について


ふわりと体を浮かせ

両足で沖田の右手に技をかけ倒す

「くっ!!」

なんとか受け身をとった




薬売りが沖田にそれ以上の技を掛けなかったのは

土方が抜刀した刀が、薬売りに向けられていたから



「山崎烝や
土方はん、わいは…あんさんに尽くす
せやけど、他者の命令は受け付けん
それでもええか?」



「ああ 充分だ」




刀を収め、ニヤリと笑う