なんで、気がつかなかったんだろう…


山崎君は、単なる女だ


ちょっと、男らしいけど


「なんや?」

「ねぇ?本当の名前は?」


今、二人で反省部屋にいる
なんでかって、先ほどの押し込みの際
僕らは、完璧に戦意喪失して
二人で抱き合ってたからね



「山崎烝やけど…」

「それ、本当の名前だったの?」

「そうや?篠塚岸三のがよかったか?」

「ははっ 男らしい名前だよね」

「そうやな」

「それにしても!綺麗な格好した僕らが
暴れてたらおかしいのに
戦わなかったら、それはそれで罰なんて
おかしいよね?」

「沖田…おおきに
内緒にしてくれて…」

「別に山崎君の為じゃないよ
僕の団子の為だからね!」



蔵に閉じこめられた僕らは、暇つぶしに

たくさん話をした


結婚していた時の事とか

どうして、別れたとか

なぜ、武士になりたいと思ったのか


話を聞けば聞くほど、山崎君は
とてもさみしい人だと思った


僕も自分の事を話した


近藤さんや土方さんに出会うまで

そして、出会ってから

今の仲間と出会い

江戸から京に来るまでの事



話してたら、僕の方こそ
さみしい奴だと思った


夜は、まだ寒くて

寒がりの山崎君は、ぷるぷる震えた


「あたためてあげる」


山崎君を包み


抱き合うようにして寝た







人の温もりって、こんなにあったかいんだ

あたためているつもりが、僕も暖まって

ウトウト……