斎藤と町を歩くこと、一刻


「心当たりもないのに、歩いていても
やはり、会えませんね…」

「斎藤… 俺の勘は当たる!会えるさ!」


どこから、その自信がくるのか…

楽しそうな土方を横目に見る


「休憩しよう」


土方と茶屋の椅子に腰掛けた


「んあぁ!!!」


斎藤が変な声をあげ立ち上がった

その斎藤の視線を土方が追う


「もしかして、あいつか?」

「はい!」


たまたま入った茶屋に、探し人がいたのだ



「よう?相席いいか?」

「???満席ちゃうやん…ん?斎藤やん!
ホンマよお、会うな?
わて、ゆっくりしたさかい
失礼するわ!ほな!」


ガシッ


「土方歳三だ
おめぇと話がしたくて、探していたんだ
少し付き合えよ」


「……ええけど」



大人しく、元の椅子に座った


土方は江戸から京に来た目的
そして、これからの世のこと

組の役割などを話した

薬売りは、黙って聞いた


「仲間になってくれねぇか?」





土方の語る言葉は、実に薬売りの心に
響いていた

何より、土方が信用にたる人物だと

見抜いた



「浪士組と馴れ合う気はない
せやけど…

……ええよ
浪士組、入りましょ」