「おや?君菊?」


運ばれたぜんざいに口をつける寸前

常連客らしきに声を掛けられた


「あら!千鳥屋はん!
お久しぶりどすなぁ~」


寒い~って、ぷるぷるしてたのに
仕事の客の前だ

しゃきっとしだした


「や!最近、新選組の副長さんにベッタリ
らしいからなぁ」

「ややわぁ~ベッタリやなんて~
あっ その副長はんどす」

「千鳥屋です」

「土方です」

「沖田です」

「そうや!!君菊!!
ここで会ったのも、何かの縁や!
正月、店開けることになってな…
人手が足りんのや!頼む!!!」

「正月どすか…」

「初詣の約束してたか?」

「いえ…うちは、初詣は行かしまへん
温かい火の前で、お料理の方が好きや!
ええよ!行きましょ!」

「君菊…料理出来るの?」

「沖田はん?甘味も作れますえ?」

「本当!?」

「千鳥屋 その日、初詣の帰りに俺らもいいか?」

「へえ構いません!お待ちしております!
ほな、君菊がよく見える席をお取りします
よろしく頼むな!君菊!」

「へえ」


千鳥屋が団子を買って店を出てから

ぷるぷる震えて


「やぁ~ぜんざい冷めた~」



半ベソで言う


「ベラベラ喋ってるからだ
ほら、熱い茶でも飲んどけ!」

「おおきに!」



「なんだか……
本当に女子みたいだね」

「黙れ!女顔!」

「また!!やっぱり、山崎君嫌い!!」

「沖田に好かれんかてええわ!!」




子供の喧嘩だな

でも


わかった


山崎は、新選組の中で、総司にだけは
素で話をする











山崎は、着替えて、屯所に忍び込む


「副長 戻りました」

「ん 降りてこい」


シュタッ


来いって言った所で逃げる


なら



グイッ



チュッ



逃げられないように、抱きしめた


「あの……なんで?」


消毒でもないのに…てか?


「なんか…ありました?」


あったよ…嫉妬してる


「副長?」


山崎の声が、弱くなった
怖がらせている?


「悪い…」


山崎を離した


俺が、いつもと違うからか?


「ふふっ 暖かかったから!ええよ!」



初めて、俺に素を見せてくれた